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日々雑感
幸せは日々の雫のような時の中にある。
毎月の、つれづれなるままに……
2014.04.05 Saturday

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スープ作りに熱中

 我が家では、今 買い物はほとんど夫が担当している。
和歌山へ出かけたついでに 蕪がほしいとかセロリやレモンがほしいなど注文すると 引き受けて、なんだか面白いものをみつけて一緒に買ってきたりする。地元の主婦がつくった不揃いのじゃがいもだったり、二股ニンジンだったり、珍しい色のじゃがいもだったりする。
 魚屋さんは、夫の得意分野で新鮮なものをみつけて下ごしらえまでしてくれる。肉屋さんとは当然の顔見知り、夫特製手作りベーコンの材料、豚バラの塊肉はここで仕入れる。
 さてこの日魚屋さんでの買い物は大漁であった。
朝から「甘エビのおつくりが食べたいなあ」「特製きずしが食べたいなあ」と食欲を取り戻した私のいやしさ、あさましさ、食べることばかり言うものだから呆れて夫は魚屋へ行った。
意気揚々と帰ってきた。
機嫌がいいのは何かいいものが見付ったしるしだ。
 まず、鯖、よく油ののった形も色も新鮮そのもの、びっくりしたのは大きな鯛の頭だ。
お相撲さんの手のひらをバッとひろげたような大きさで今さばいたばかりのような目の色だ。
甘エビはなかったが、活け足長えびのプリッとしたの、生で最高というのが,もうたまらない。 
あさましや、ぷりっとした足長にとびつきわさび醤油でみるまにすべてを昼食でいただいた。ああ幸せ。   
 鯖は夫の担当だ。例によって雪のように振った塩、これをあべかわ塩という、酢加減はなど薀蓄を述べ、つかの間、板さん風だ。
 さあて、私はお相撲さんの手のひらの鯛頭に俄然うまみを発見した。実は、ガンちゃんのお陰で今やだし汁、スープ、ポタージュの旨味に熱中、のめりこみ、昨日は鶏がらで、一昨々日は野菜で、透き通ったスープを作り悦にいっている。
 冷凍庫では、出し汁やスープ、ポタージュたちが、あるものは製氷機、あるものは卵ケース、あるものはぺっちゃんこの冷凍袋の中で出番を待っている。
 今日はこんなに新鮮で、たぶん生きていたときは目の舌30センチはあったであろう鯛頭だ。
もう、おいしい出し汁がすでに舌の先から口中に広がる気分だ。
出刃包丁で適当に切り分けた鯛頭に塩をふりレモンを絞り、もういっぽうで出し昆布をなべにつけ、1時間。
 レモンというのはさすが料理家辰巳芳子さんのアイデアの素晴らしさ、ちょっとしたことなのに、これがすっきりした魚の出し汁、
ヴィヨンになるのだ。病人のためにと研究された熱意を尊敬する。
さて一時間後、別に湯を沸かしここにもレモンを少々絞りこみ、鯛頭をさっと湯通し、流水できれいに血合いなどを洗いながし、出し昆布をつけた鍋に入れ火にかけ静かに炊く。あくを丁寧にとって20分、静かに、静かに煮出すのだ。さいごはペーパータオルで漉してできあがり。ちょうどやってきた娘が「うああっ おいしい!」という。なにもいれなくても旨さと滋養になるという実感がある。明日はこの出し汁をつかってブイヤベースと洒落ましょう。

 今、こんな一刻一刻が愛おしい。ありがたい。
がんちゃんに宣言された命の期限がたとえ執行猶予中であったとしても、幸せを紡げることを感謝している。

 

 
 
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