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日々雑感
幸せは日々の雫のような時の中にある。
毎月の、つれづれなるままに……
2013.08.27 Tuesday

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メイン州へ

  ピースファームへ続く道は高い木々が導いてくれる。
森の声が聞こえる。風の囁きが聞こえる。
 13時間もかけての長旅をその身体で何故わざわざと主治医。
もしなにかあったら一大事「アメリカは、医療費は高いし、手術も日本のようには行かない」との要注意、その脅しにも思いとどまらず、「人生の目的がそこなら」と、すすめられた抗がん剤その名もアブラキサンを7月1日思い切って受けた。大体鈍感なのかなにか、抗がん剤初体験のTS1は1週間で不適応になり、もうやるまいと思っていたのに、一年半後の転移のためパクリタキセルを受けた(パクリやアブラキや変な名前です)。髪の毛が総ざらえ抜けた。それでも辛い副作用は実感しなかった。もちろん自覚症状が軽くても健康細胞はダメージを受け白血球、赤血球は悲鳴をあげたが、がんには、ダメージが届かなかった。

 今回は自覚症状の指先のしびれや動悸、貧血、疲労感、口の渇きや目の乾きまでこれはなに?というしんどさを味わった。
それでも出発を1週間後に控えた診察「きっと13日元気よく帰ってきますから」と言う私に主治医も「いってらっしゃい」と求めた握手にこたえてくださる。
というわけで娘が介護員として孫とともに同行、夫はレンタカーの運転のため国際免許の手続き済ませた。妹は奈良から出発準備を手伝いに来てくれた。
周囲に影響を及ぼしながらそれでもメインへと思ったのは、この高い木々、森の声、風の囁きが私を呼んだのだ。
ピースファームの主は、ピアニストの池宮さんご夫妻。じゃがいも、ニンジン、ズッキーニー、きゅうり、トマト、とうもろこし、バジル、セージ、ケイル、ブルーベリーにブラックベリー洋梨、レモン、にんにくに、と書ききれないほどの野菜を有機農法で育てていらっしゃる。お二人は本格的なヴェジタリアン、奥さんのとも子さんの研究とひらめきのレシピはねぎドレッシング、紫蘇ペースト、スクワッシュ(これは黄色のズッキーニーのこと)のキムチ、スムージーはケールたっぷりだ。ズッキーニーを細く長くスパゲティのように仕上げてこの紫蘇ペーストを混ぜると美味しい。
ピースファームの野菜はお二人の心身の健康の基になっている。
心地よい風が白樺の森を吹き抜ける。
「渡辺さんたちと共にやってきた風ですよ」と正信さんが仰る。
とも子さんの見た夢にも剛が登場していたのだからと、私は目を細めている。亡くした子がこんな風に思い出されて幸せだ。
お二人の厚意が身に染みてくる。
心のままに幸せを、心のままに感謝を、心のままに大好きを身体が感じるのかどんどん楽になっていく。
湖の辺のピクニックは、ご近所さんがそれぞれ得意の一品をもちよって集まってくる。お隣といっても車で何マイル、森ひとつ抜けた先という感じなのだ。がん治療中だったゲイルさん、デビーさんがお元気な姿で今年も参加、ぜひ来年も会いましょうと約束のハグ、お互いを思いあってのハグ。 雨上がりの青い空に大きな虹があがった。湖にその虹が写って誰もが幸せな気持ちを共有した。カヤックに乗ったり、大きな蛙を捕まえてはしゃぐこどもたち、孫もその輪のなかにいる。違いを越えて、国境を越えて。
この子達の未来に希望をもちたい。
人のあたたかさは国を越えても変わらない。

そして平和な世界はひとりひとりの愛がつながって実現する。
  
 

 
 
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