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日々雑感
幸せは日々の雫のような時の中にある。
毎月の、つれづれなるままに……
2013.06.30 Sunday

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音の語らいのこと

  緑がぐんぐん濃くなって夏風景のテラスだ。
大雨の空模様をうんざりして見ている私にひきかえ、
まあ プランター育ちの胡瓜、トマト、かぼちゃたちの燥ぎよう
といったら。 「待ってたんです!待ってたんですよう この雨」とばかり胡瓜は黄色い花を簪にして一気に実り、トマトは小さいながら初成りのが真っ赤に染まった。
かぼちゃ、実はこのかぼちゃ、わが家のコンポストに残っていた種が芽を吹き勝手にプランターを専用したのだが、
これが元気 元気、蔓を伸ばし大きな葉を自由に動かして、
大笑いしているのだ。
   長い日照りの日々を細々と届けられるホースからの水で耐えていたから、大笑いも 待ってたんですようという思いも人間とは
言いながら私にもよく分かるなあ。
  話はころっと変わるが
  生物すべて、そして雨も 空も 山も河も、そう 宇宙は命の流れを受け継いできた。
人も小さい存在ながらその脈々とつづく命の流れを感じ音楽にした。音楽は命に染みてくるもの。「待ってましたよう」になるもの。
バッハもブラームスもショパンも しずくが連なって深い根っこに届く。  こんな音楽を奏でる人がうらやましい。

  私たちは「音の語らい」と名づけてクラシックを身近で聴く会を始めた。もう30年ちかく前になる。
ファーストコンサートは「コーヒーカップを片手にクラシックを」と
金剛山の麓で弦楽四重奏を楽しんだ。
それは少学校の同窓会もかねていたから参加者は懐かしい面々。
オープンしたばかりの喫茶店の閉店後を借用して会場にした。
遅れてきたYさんは、明かりが森の暗闇からもれてきて最高のシチュエーションだとよろこんでいた。さすが建築家Yさん、彼のデザインは周囲の環境草花木々風からもその建物を生かす。
クラシックは柄じゃないといいながらそれからは毎回参加して「音の語らい」の常連になった。筆を走らせているなと思ったら演奏家をスケッチしている。音もスケッチしている。
参加してくださる方は会を追うごとに増えた。
演奏家にも恵まれた。フルート奏者ジャン・ミッシェル・タンギーさんは後の会でベルギーから木管五重奏団を伴って来てくださった。小さな我が家での宿泊は、まるで雑魚寝状態 心温かいメンバーはそれでも喜んでくださった。
息子のためにつくったエレベーターを喜びガーと激しい音がするのも皆で楽しんだ。その頃はタンギー夫妻のお嬢さんの結婚式でスペインを訪れることになるなんて予想もしなかった。
堀米ゆず子さんとはタンギー夫妻が縁でアムステルダムの桟橋での出会いが最初。いつか「音の語らい」でという願いが叶い、
10年続けて出演、河内長野のみなさんに喜んでいただいている。
7月 80回目のメモリアル「音の語らい」は、ちいさな会場で開催することになった。 堀米ゆず子、津田裕也、ヴィヴィアーヌ・スパゲノというビッグメンバーでトリオコンサート、こんな素晴らしい会を開催でき幸せなことといったらない。  「主催する私達夫婦、あらあ!老いました。夫は75歳、妻70歳に相成りました。」
ここまで書いたらどうしてもゆず子さんの音色に浸りたくなった。
大好きなバッハの無伴奏曲2番パルティータ。 音楽に人生を重ねて越し方行く末に思いを馳せる。 
音楽が心の深いところまで染みてくる。命のしずくをもろ手に受ける。全身で受ける。

ああ、こんな音楽を奏でる人がいる。
 

 
 
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