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日々雑感
幸せは日々の雫のような時の中にある。
毎月の、つれづれなるままに……
2014.09.02 Tuesday

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音の語らいファイナルのこと

 堀米ゆず子さんからメールが届いた。
「スチュワート君のヴァイオリンの音を送ります」とある。
今夏、ゆず子さんのケンヴリッジでのヴアイオリン夏季講習には各地から多くの若者が集まった。彼女の音楽に対する豊かさに魅せられた若者たちだ。その中に自閉症のスチュワート君18才がいた。音色で語り合ったゆず子先生と生徒、その場面が浮かんでくる。最終日のコンサート、舞台ではリストのスケルツオとアメイジンググレイスが演奏された。ゆずこさんはピアノ伴奏をしている。なんて素晴らしい。どうしても彼女の伴奏で弾きたいとスチュワート君が訴えたそうだ。アメイジンググレイス、音色が流れた瞬間私は涙が止まらなかった。
ゆず子先生の伴奏に安心しきったスチュワート君、そして包むようなピアノ伴奏、特別のアメイジンググレイスだった。
私の病んだ体に染み渡ってくる優しさ力強さ、ゆず子さんが是非聴かせたいと思ってくださったことが深く届いた。うれしかった。
「範子先生、お父ちゃん
素晴らしいでしょ? 彼の音・・ほとんど会話はできないのだけど音で会話します。レッスンでも返事はないけど音で返ってきます。ご両親、また先生方よくここまで育てたと思います。レッスンで弾いてあげた伴奏がとても気に入ってどうしてもコンサートで弾いてくれと彼が私に言一度は他のプロの伴奏者がいらっしゃるので遠慮しましたがレッスンで弾いてみて「やっぱりやろう」と思った次第です。言葉になる前の意思疎通・・観心寺保育園にも通ずる「はぐくむ」心、力に感謝です。日々を大切に生きてゆく…大事なことですよね。では10月に。ゆず子」
これが彼女からのメールーです。お父ちゃんと言うのは夫の愛称、ゆず子さんは夫をお父ちゃんと呼びます。
 
「思い立ったら吉日!」とあんまりあれこれ考えず、楽しいことばかり予感して動き出す妻と、その夢の実現に大人の知恵を搾り出す夫、振り回されながら面白がって加担する子ども、当初こんな風にして軽やかに始まり続いてきたクラシックコンサート「音の語らい」だった。「音の語らい」の命名者は夫、音楽を通して心の交流をという願いがこもっていた。
息子剛の大好きなゆず子さんが音の語らいで演奏してくださるようになったのは亡き息子の天からの采配だったと思う。
28年目のこの秋、10月17日、室内楽をまた楽しめる。幸せだ。
「ゆず子さんの音の語らいを開催したい」「この日までは元気でいたい」と目的になった。ガン手術後3年2ヶ月体力は日増しに落ちてきたが嬉しいこと楽しいことそして多くの友人知人に助けられ、日々大切に過ごしている。感謝のおもいでいっぱいだ。

音の語らいはそろそろファイナルにしようと思う。
ゆず子さんのメールにまた励まされた。
観心寺保育園に通ずる「育む心、力」を彼女と共鳴し感じたことが何よりの応援歌だ。
1986年秋、参加者42名、夜の帳がおりた山の麓にほんのり浮かぶ光のなかに美しい音色が流れた。あの第一回「音の語らい」以降、数多くの素晴らしい演奏家が「音の語らい」に出演してくださった。音楽好きの息子 剛のために、身近で生のいい音楽を聴きたいと言う願いにぴったり合った。
軽やかに願いを実現できたのは息子の喜ぶ顔が嬉しかったからだが、ご参加の皆さんの笑顔がこんなに幸せを運んでくださるとは予想を超えた心の動きだった。笑顔でファイナルをむかえさせていただこうと思う。みなさまほんとうにありがとうございました。

記念すべき82回目の「音の語らい」ぜひお越しくださいませ。
 

 
 
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