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日々雑感
幸せは日々の雫のような時の中にある。
毎月の、つれづれなるままに……
2012.09.26 Wednesday

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2012年夏メイン州にて

森の山小屋の中で昼寝をした。
身体が解き放たれ、心が和らいでいくのを実感した。ここはアメリカメイン州ディアーアイル、ホステルには水道は引かれていず、井戸水だ。電気は自家発電と一昔前に逆戻りしたようだった。
スゥエーデン出身の Anneli とアメリカ人の建築家 Denise がここのオーナーだ。森を切り開き、畑を開墾し作りあげたホステルはすべて手作りだ 3階建ての本館も山小屋も、花崗岩を基礎に使った木造で開拓時代の建て方にならっている。「キッチンはどうぞご自由に、もし畑の野菜が必要ならどうぞ」いうのがこのホステルのスタイル。卵も椎茸もすべて自家製、鶏小屋を囲む庭には豚も飼われていた。一代目の豚はハムになって台所の片隅に吊るしてあった。

「えいっ」と自分を励まして、アメリカ行きを決めたのは癌との付き合いが一年目の6月、「ひとまず症状は安定」という自分なりの判断と「今行きたい、」との願望と「今行かなくては」という、ちょっとした焦りが一緒になって夫を誘い、娘と孫も一緒にということになった。
この旅を喜んで、メイン州での宿泊からプランまでを支えてくださったのはピアニストの池宮正信さん。
彼に出会いラグタイムという心の底から笑顔の湧く音楽を知ったのは、1993年、それから2年後私たちの主催する「音の語らい」にお招きしてから毎年彼の音楽を企画するようになった。1996年、ニューヨークラグタイムオーケストラを率いての爆発するような喜びのコンサートは河内長野の人々を魅了し5年続けての企画になった。オーケストラのメンバーをホームステイさせてくださったボランティアの皆さんが支えになった。そして今も「育児支援コンサート」と「音の語らい」のために毎春、池宮さんは日本へ帰国される。
彼の音楽は何故こんなに人々を幸せな空気に包み優しい心で満たすのだろう。ニューヨークを引き払いメイン州に居を構えた池宮夫妻の「愛と平和を願うエネルギー」が病を得た私を引き寄せた。 ピース・ファームは、池宮家を取り囲む自然農園だ。名付け親は奥さんのともこさん、のような気がする。ほっこり野菜たちは多くのハーブや草たちと共存、丈夫で栄養豊富、ほんとうにおいしい!のだ。
共存しているのは植物だけではない.農園の野菜を守るために金網で囲ってあるのだが、ここから森への出口に動物たちへのメッセージが小さな看板になってつるしてあった。「動物さんたちへ私たちはピース・ファームに住むものです」で始まるメッセージは人間の驕りがなく、森の住人になったお二人から動物たちへの挨拶のようだった。「一緒に暮らさせて、畑の野菜を食べないで」はきっと動物たちに届いたはずだ。この畑で取れた人参とビーツのジュースをとも子さんは毎日私に運んでくれた。手作りの全粒粉パンに自家製ブラックベリージャム、野菜尽くしの手料理で身体が蘇るのを感じた。 それだけではない。彼のコンサートの大切な働きに私たちも参加させてもらったことが命に輝きを与えられたように思う。老人ホームでは日本のわらべうたを披露、車椅子のご老人は、手を取り合ってのわらべうたに笑顔を見せてくださった。ホームレス・シェルター訪問、これも池宮さんからのプレゼントだが、こつこつとホームレスの方々に愛を尽くされた Sr. Lucile に心を打たれた。
 山ほどの感動は語りつくせないが、今回はあのホステルのことで雑感を終えたい。自然におかれた孫は、全身全霊で森を駆け巡り子どもらしい英気が彼の全身から吹き出た。豚のヘンリーやアイリスと仲良くなり、鶏の世話や野菜の収穫に嬉々とした。Denise とはすっかり意気投合し海へ行ったり,火を燃したり、薪を伐ったりした。メインではいろいろな場面で子どもたちへの愛が満ちていた。

 未来を担う子どもへ生きる希望となるものは「愛こそ」とあらためて強く大人の責任を感じた。
 

 
 
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