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日々雑感
幸せは日々の雫のような時の中にある。
毎月の、つれづれなるままに……
2011.01.22 Saturday

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2011年お正月

   もう何年前だろう、今年のような寒いお正月、夫と長女は
クラブのスキー旅行で志賀高原へでかけ、息子と二人のお正月
になった。年末から張り切って料理し、スキー組にはおせちを持たせた。祝い肴と得意の定番の牛タンのコンビーフ、蕪のふくべ漬け、するめいかで作った塩辛などだ。
スキークラブの名は「シェルカ」。ドイツ語でスキーを愛する会の頭文字をもじったものだが、愛するのはスキーだけではなく、よくお酒もたしなまれる(?)メンバーで、タンも塩辛も好評だった。
  さて、留守番ぐみだが、元旦凧揚げには絶好の風が吹いていた。防寒具で身を覆い、息子と二人で近くの高台にでかけた。
凧は空高くあがったが、突然の横風でくるくる回り始め、ついに糸を切って落ちていった。
  病を宣告されてから5年、歩くのが覚束なくなり始めた息子の宝物の凧だ。落ちたあたりを推理し、私は息子を待たせて、そこを目指して走り、土手を駆け下り 凧を捜した。
二人の距離はどんどん遠のいた。こんな寒い日に凧揚げなどしているのは、私たちくらいで、視界からお互いの姿が消えて心細くなった。
「剛 ヤッホー」思い切り大きな声で叫ぶと「ヤッホー」と息子が答えた。凧が見つかって再会したときの嬉しかったこと。

今年もまた黒豆を炊き、数の子を戻し、ごまめを煎りお福茶用の昆布を結び小梅を準備した。
息子が逝き、娘が嫁ぎ、夫婦二人になった。
時は粛々と進み、人間の予想を超えた速さで変化をみせる。
そのひとかけひとかけの時が
いとおしいと感じるようになった。

 

 
 
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